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元山上口駅-清滝石仏群-千光寺・行場-元山上口駅


11月例会だより
 11月20日、朝少し冷え込みはしたものの、素晴らしい青空めもと、近鉄生駒線元山上駅10時に77名の会員が集まりました。
 案内してくださるのは、自称雨男から晴れ男に変身ぜれた卜部先生。駅前広場から見える西の山の尾板の少し窪んだ所に見える鉄塔を目指して出発。「平群町千光寺行場」を巡るのが本日の例会の目標です。修験道め「行」というのは「山岳という異界に入り山の霊気を自分のものとし山と一体になること」だそうです。
 出発してから一時間、紅葉の景色を楽しみながら夜道を登り、清瀧石仏群に到着。鳴川の渓谷沿いに磨崖石仏が見られます。中世から今日まで、平群から三郷にかけて大敗に至る街道筋には、渓谷沿いに信仰の通が続いているということです。万病が治るという、弘安年間の銘文のあるゆるぎ地裁を見て千光寺に到着。
 千光寺は天武十二年(六八四)役小角の開基とされていて、大峰山開閉前の修行地であることから元山上と称されているということです。続日本紀によれば、「文武天皇3年5月丁丑 (24日)役君小角伊豆嶋に流さる。初め小角葛木山に住みて呪術を以て称めらる。」とあります。役行者に関する正史はこれのみで後に行基も、最初は山林において修行をしましたが、その後は山を出て民衆の救済を行います。
僧尼令では僧が山林において修行することを禁じていますが、山林修行で特殊な能力を身につけ、民衆を味方につけることを朝廷は恐れたのでしょう。しかしこの寺からは祭良時代まで遡る遺物は何も見つかっていません。やがて中世になり貴族による旅野裔が盛んになり、修験道の組織化が進む中で、役行者が伝説化され神格化されていったのでしょうか。
 さて行場ですが、行者堂の横の裏行場から登り始めました。急な斜面に取り付けられた木の階段と鉄の鎖を便りに一歩一歩登って行きます。ふと気がつくと見上げるような高さの所まで会員の列が続いています。その脇には巨岩が高く連なっており見るからに恐ろしく厳かな募囲気ですが、丁度いい所に木の根が出ていたり足め置き場もあったりして、お互いに注意事項を確認しながら励ましあって登りきる事ができました。そのまま西ののぞきまで歩くと岩と岩の間から、遥か南め方に大峰山に続く山並み、手前に畝傍、耳成山も見えます。岩の横の札に書かれていた歌「ありがたや西ののぞきに儀悔して九品の浄土へ入るぞ嬉しき」を見つけました。このような歌を唱えながら行をしたということです。
 裏行場の厳しい道を全員無事に登れたことで、会員の心が一つに結ばれたような気がして、卜部先生の「本当によかったですね。」と言われた笑顔がとても印象的でした。
 その後、表行場を下りながら蛇腹石、平等岩、大黒石などを見て最後の鐘掛岩に到着。元山上駅には2時50分頃帰って釆ました。皆様本当にお疲れ様でした。卜部先生、次回の行場巡りを楽しみにしています。ありがとうございました。      (青木明美)

  近鉄元山上口駅

近鉄元山上口駅前集合の参加会員77名。例会報に「急峻な山道のアップダウンで体力に自信のない方は遠慮ください」との記載があったためなのか、参加者は上々の快晴にも拘らずやや少なめである。案内の卜部さんから入念なコース説明をうけて出発。目的地は役行者ゆかりの鳴川千光寺と背後の行場めぐりである。
千光寺旧参道にあたる鳴川渓谷沿いの山道を遡り、清滝石仏群を目指す。

  清滝石仏群

清滝石仏群に到着。卜部さんから一帯の磨崖石仏について解説があり、周辺を各自が石仏群を見学。
左 鎌倉中期の優品、八尺地蔵と呼ばれる地蔵立像。
  像高263cm

右 法螺吹地蔵はらみ地蔵
五智如来。岩壁を掘抜き、釈迦・薬師・地蔵・弥勒・阿弥陀の5尊像を浮彫りにしている。鎌倉後期の作。
貝吹地蔵

  鳴川集落

ゆるぎ地蔵。総高185cm、頭上に笠石を載せている。「弘安二二年」(1281年)の銘文
ゆるぎ地蔵の右横に天文20年(1551年)銘の「十三仏板碑」。

  千光寺

左 紅葉が鮮やかな千光寺惣門に到着。ここで昼食。
右 千光寺山門。真言宗醍醐派に属する密教寺院。
  各自境内を見学
千光寺前の広場で卜部さんから寺の縁起、背後の行場めぐりの解説を受ける。また、会報記載のコースを変更。裏行場から西ノのぞきを巡り、表行場から清滝石仏群に下るとの説明があった。
左 千光寺梵鐘。元仁二年(1225年)の陽鋳銘、鎌倉時代梵鐘としては県内最古。
右 千光寺
十三重層塔。鎌倉時代後期の作、総高417cm。

  千光寺裏行場

「急坂につき慎重に」との厳重注意を受けて、いよいよ裏行場巡りに出発。
いきなりの崖道。梯子、鎖、ロープを使って時間をかけて慎重に登る。
西ノのぞき」から奈良盆地東方の山並を見渡す。
すばらしい景観。

  
表行場

表行場」へのスタート、遠見岳鉄塔下で休憩と説明。
表行場には名前のついた巨石が点在する険しい山道を下る。
蛇腹岩
蛙岩
大黒岩
平等岩
 巨大な鐘掛岩 不動の滝と不動明王。ここで行場巡りの廻峰道を一周した。
鳴川峠との分岐道を右清滝石仏へとって往路を戻る。


初冬の青空に輝く柿の実りやススキを眺めつつ、一路近鉄元山上口駅を目指して下山。午後3時駅前で解散(写真・文責 伊田嘉文)