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研究所講堂

「馬と生きる」野島 稔(四条畷市立歴史民族資料館) 主任学芸委員
「古墳時代の馬との出会い」 森 浩一(同志社大学)名誉教授

 石野、菅谷両先生を始めとする専門家を含めて356人の聴衆が会場にあふれ、別室のテレビ中継を利用する人たちも出た。
 四条畷市立歴史民俗資料飽の野島稔先生の講演から始まった。先生は13体もの馬骨の発掘をされ、また背が低く脚が短く太い、いわゆるカッコ悪い木曽馬がお気に入りとか、馬に対する思い入れは並ではない。
 講演の舞台は、東は生駒山系、西は河内湖の幅2kmほどの土地で、南北に2本の河川で区切られた四条畷の地域である。この地に五世紀中ごろ、朝鮮半島からの渡来人により「牧」が開かれた。この牧は大和政権の一大プロジェクトであり、信州や群馬にまで広がりを見せる。
私たちは「牧」といえば草原に草をはむ馬を想像しがちだが、実態は集落、田畑、工房、祭祀場、墓地など総合的な施設である。この状況をイラストの入った読みやすいレジュメやスライドで説明があり楽しい時間であった。
私個人としては馬に塩を与えるため製塩土器が多く出土していることに興味を持った。
 休憩を挟んで森浩一先生の講演となる。千賀先生との対談型式で行われた。「考古学の馬の資料」というレジュメに基づいてこの項目ごとに遺跡名、遺物の内容、そしてそれに関わった人名を盤丁げての説明がある。その上で馬の研究といえば、馬具に偏りがちであるが、もっと馬飼集団の多様な内容に目を向けるべきで、それは鮮卑族や燕といった北方民族との関連も考えられるという。馬を研究するなら実際に馬に乗ってその体験により新しい視点が開かれるだろうし、また先人の論文を充分に読みこなすことにより広がりのある研究になるとの指摘があり、講演を終わった。
 森先生、野島先生、ご苦労様でした。またお世話してくださった‥皆さん、お疲れ様でした。(土田嘉男)
講演風景