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講師 広岡孝信さん
場所 名古屋港ポートビル2階講堂

名古屋支部 「大和考古学講座」に参加して!!
 今回は橿原考古学研究所の廣岡孝信先生により「片岡王寺の発掘調査」という題目でお話していただきました。
 ここで片岡王寺について簡単に紹介しておきます。片岡王寺はJR線の王寺駅の南約1kmに位置しその周辺は重要な奈良時代の遺跡や遺構が数多く存在し片岡王寺もその出土瓦類から飛鳥時代の皇族に関係した人の寺であると推定されています。
 廣岡先生はまず周辺の遺跡や地名について資料にもとづいて説明され、続いて片岡王寺の研究に携わった保井芳太郎先生はじめ六人の先生の研究のあらましを解説されました。次に最近の調査として2003年~5年にかけての最新の発掘調査結果について資料とスライドでもって詳細にかつわかりやすく説明していただきました。そしてまとめとして片岡王寺が古代の誰に関係した寺であるかについて法隆寺の金銅製板造像記に書かれている文字や石田茂作先生ほか5名の研究者の説を紹介し未だ確定までには到ってはいないとのことです。次に築造年代については出土瓦が飛鳥時代(片岡王寺式軒瓦)のものであるからほぼその時代であろうこと、また出土した鬼瓦が平城宮大極殿や法隆寺と同笵の鬼瓦であること更に軒丸瓦が平城宮と東大寺と同笵の重圏文軒丸瓦が使われていることから想定し誰の寺かについては不確定なるも天皇家に繋がる皇族の寺であることは確かであろうとのことでした。
 さて、片岡王寺の周辺にはいくつかの瓦窯跡が見つかっているが、そこから長屋王の邸宅で使われていた瓦と同笵の瓦が見つかっていることから見てこの片岡の地域は長屋王の荘園であったと思われるが長屋王の変のあと荘園は藤原一族が支配することになって後ろ楯を失った片岡王寺は衰退しその後、放光寺(山号は片岡山)と名前をかえて現代まで存続していると考えられるとのことでありました。(寺倉松男)
 
名古屋港ポートビル2階講堂
聴衆は52名
 
講師 広岡孝信さん